あやな

PERFECT DAYSのあやなのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

役所広司の演技が素晴らしかった。
主人公「下町に住む独身トイレ清掃員」
解像度が非常に高く、ドキュメンタリーを見ているかのようだった。

内容の所感:
丁寧すぎるほど几帳面な暮らし、人から疎まれがちなトイレ清掃員の仕事、ボロボロのアパートから垣間見える平山の人間性。ピリピリした緊張感が危うさを孕んだ印象を与える。物語が進むにつれ、同僚に無理やり連れて行かれた中古ショップで自分の好きなカセットが高値で売れることへの満悦や、姪と過ごす日々の充実感、家族との関係性などを通じて、平山の人物像が鮮明になり、印象は変化していく。

「感情の振幅」という観点から見ると、序盤では主人公が極力他人と会話を避け、感情を抑え込みつつ淡々と生活を送る様子が描かれ、ほぼ表情は変わらない。しかし、同僚のわがままがきっかけで、主人公の感情がジェットコースターのように乱高下する数日間が始まる。以前はほとんど変動しなかった主人公の感情のゲージが急激に振り切れる。この変化により、感情の針が柔軟になり、上下(笑顔や口数が増え)し始め、最終的に心が壊れてしまったのではないかと思わせる結末に至る。
あやな

あやな