キモサベ

PERFECT DAYSのキモサベのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8
アカデミー賞の前に観ておかなくては・・・
事前情報、評判高いだけにいやでも聞こえ(見え)てきちゃいました・・・で、そこから勝手にジム・ジャームッシュ監督さんの「パターソン」(2016年)の日本版みたいな空気を期待しての鑑賞となりました
すなわち、『なぁ~んも、“事件”起こらず』・・・です
すなわち“ありふれた日常”、そして本作を観終わってどちらの主人公にも共通したのが“ルーティン”・・・でした
「パターソン」、我ながら“いい勘”してました・・・ぜひどうぞ

結果は? ある意味、当たっていたかも
皆さんも、わかっていますでしょうから・・・少なくとも血と性と暴力が出てこない作品であることは、ね
ついでに、公共トイレの“4K”感もございません(美麗・斬新)

では感想です
これ、一言でいうと“詮索”の映画じゃないかと思ったんです
自分だけじゃ決してないはず、いや、観た皆さんも“絶対”同じでしょ

つまり主人公の平山さん(役所広司)について、あれこれ考えませんでしたか? そう、詮索する・・・です
・トイレ清掃の会社、直行直帰で給料システムどうなってんだろ?
・ユニホーム(つなぎ)の洗濯、週イチかよ(1着のみ)
・車は自分持ち、しかも自分仕様みたいなこだわり
・ラジカセ・カセットテープ、フイルムカメラ・・・っていうと何歳だ
・トイレ清掃のごみ、毎日どこで処分してんだ(帰社してないよな)
・スカイツリー、浅草、銭湯・・・家賃いくらだ
・自炊してないんじゃね? 
・しかも、朝抜きかよ(缶コーヒー)・昼はサンドイッチ
・夜の食事は酎ハイ?とお通し?だけ
・本とカセットの量、半端ない・・・趣味にしては 謎
・しかも読書と音楽のみ・・・今どきの情報の無意味さ
・朝、近所のおばさんの竹ぼうきの音が目覚まし代わり・・・無いときは?
・木漏れ日写真のブリキ缶・・・えっ、押し入れに何年分よ?(残念、見逃しました)
・辞めたタカシ君の後任女性、平山さんは絶対「こっちのが“デキル”」って思ったでしょ
・妹、そこから転じて父親は相当な暮らしぶり・・・若くしての勘当息子だろうか 
・〇×ゲーム、勝敗はつかないってば(優しさ)
・ルーティン・・・実は、壊れないかと期待して観ている自分!
・・・などなど、一人ツッコミ入れてたはずです

知らないうちに、平山さんのこと自分自身、あるいは世間一般の物差しで比べちゃっているような気がします
対する平山さんは、逆に“雑音”とは無縁じゃないですか
比べる側(私たちのこと)のいやらしさ(心の貧しさ)みたいな・・・は、ちと考え過ぎでしょか?

ただ、そうこう詮索するうちに、平山さんという人物が『決して貧しくない』『悟りの境地だ』『ありかも・・・』『潔(いさぎよ)い』・・・どこか温かさ・すがすがしさを感じて劇場を後にすることができる映画となりました
そう、監督さんからの決して押し付けでない優しい問いかけと受け止めましたです、はい
ヴィム・ヴェンダース監督は、“老子”です・・・『足るを知る』だ

【追伸】あれこれ
・最初、平山さんのこと、ひょっとしたら前科者?みたいな・・・えっ、あなたもですか、「すばらしき世界」(2021年)観たでしょ!
・♪「朝日のあたる家」、石川さゆりバージョンもよき
・女性陣がいいアクセント、スナックママ(石川さゆり)、アヤちゃん(アオイヤマダ)、古本屋の“読破”店主(犬山イヌコ)、ニコ(中野有紗)
・研ナオコはわからなかったぁ
・渋谷区の公園のトイレって、こんなにオシャレだったとは・・・そもそも本作ができる発端だったのですね

あぁ、いっぱい書いちゃいました

【追伸】
2024年3月11日 記
アカデミー賞、国際長編映画賞
受賞ならず、残念っ

でも、視覚効果賞「ゴジラ-1.0」、長編アニメーション賞「君たちはどう生きるか」が獲りました
3本とも見ておいてよかったです
キモサベ

キモサベ