落ちたフレンチトースト

PERFECT DAYSの落ちたフレンチトーストのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6

“世界はつながっているようで、実は違う世界がたくさんある”みたいなことを言っていた。ほんまそうだなと。遠くの世界や隣の世界のことなんて気にしなくてもいいのかもしれない。気にするから羨ましかったり、社会的な圧力がかかる。
世界全体の規範に従って生きるべきと思っていたけど、もう少しゆるく、悪いことはしない範囲で自分の基盤のもとに生きてみてもいいかもしれない。個別化された段階で規範は意味をなさなくなってしまうけれども。



完璧というより、自己完結なのかもしれない。自分のルールのもと完璧にこなす感じ。中島みゆきの地上の星のように、誰もが目にする輝かしさなどなくても、自分だけで完結して輝ける人がいるってことがあるらしい。そこで効いてくるのが、「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピーなんだろうが、そこに綻びが生まれてくるのが結末がなんじゃないかと。キャッチコピーが物語の答えを示さなくてもいいけど、このコピーは果たしてふさわしいのか?いるか?CDが広告的なやりくちねじこんだんちゃうか?など。



日本人が描く日本という感じがしなくて、日本を愛する外国人の目線をそこかしこに感じた。英語訳の字幕付きで観て、ヴェンダースが世界に向けて伝えたかったニュアンスを知りたい。