これは共感してしまうと孤独の悲哀が胸に来過ぎて…
見事ととしか言い様のない、ラストカットの演技には、バッチリ胸が押し潰されました。
聞き慣れたで箒ではく音で朝を迎え、質素ながらも整った生活、朝のコーヒーと気分に合わせた音楽、こだわりを持って仕事に取組み、先頭で一番風呂、馴染みの店で晩酌をして、気になった文庫本を読みながら眠りに落ちる…
一見、淡々と同じルーティンで過ぎていく日常も、小さな喜びを見つけてPerfect Daysたらしめる生き方に羨ましさを覚えすらする序盤。
木々と共にゆっくりと生きてゆく素敵さ。
そんな中、若さや愛情に触れて自分とは異なる世界に交わった時、それによって得た彩りに喜びを感じる。
反面、同時に自分の世界を客観視することとなり、自分は日々をPerfect Daysであると納得させようとしていた事に気付いてしまい、心が揺らぎ、虚しさにも似た悲しさが滲み出てきてしまう。
そして、別れや死に触れて自身の孤独と不安に恐怖してしまう。木々と違い人間のゆっくり生きるとはゆっくり死ぬということ。
Perfect Daysであると思い込んで生きていかねばなのです。
鑑賞後に後席の日比谷マダム達が「全然分からなかったねー」と。
この作品を見て何かしら感じ取れる感性で良かったと思いつつも、一方で孤独な悲哀に無縁な世界線は正直羨ましいのです。