りく

PERFECT DAYSのりくのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
風呂無しのアパートに住む孤独な独身の平山さん。

仕事は公園のトイレ清掃で、趣味は苗木を育てることと木の写真を撮ること。

この口数の少ない平山さんは、同僚の若者から、なんでこんな仕事続けられるのか、と言われるようなトイレ清掃の仕事に誇りを持ち、真剣に向き合っている。

友達や家族はおらず、心の奥底では泣き出してしまいそうな寂しさを抱えながらも、孤独に木の写真を撮ることや読書を楽しみ、1人代わり映えのない毎日を送っている。

しかし、日常のふとした瞬間に訪れる物事に心を動かし、人の手助けをする事に喜びを感じれる心豊かな人でもあった。

特にラストカットでは、独り身の言い様のない寂しさと、1人でも自分の好きな物、音楽や小説を楽しみ、一日一日を新たな日として心を開き、1人生きていく平山さんの強さが現れていた。

前編を通じて役所広司の繊細な演技が光る作品であり、主人公の複雑な心模様を雄弁に語っていた。


「こんどはこんど、今は今」
という心に残る平山さんのセリフのように、心を開き、一瞬一瞬を大切に生きたい。
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