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PERFECT DAYSのdaiのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

まず感じたのは、都合の良い箇所を切り張りしたような設定だ。トイレもお洒落な場所しか登場せず、ある意味ステレオタイプな若者、古本屋の主人、飲み屋の女将・・・といった人物が登場する。
このご都合主義は、主人公の描き方にも反映されている。主人公は寡黙で、決められた通りのルーティンにこだわり、かなり繊細な性格だと思われる。そして何かの理由で悟りを開いたような人生を過ごしている。その設定自体は良い。
しかしその描き方が一方的なのだ。キレイでオシャレな方向からしか光を当てていない。その裏側にある人間の嫌な部分は、主人公の完結した人生感によって上手く隠されてしまっている。
もし、その人生観を、肯定でも否定でも良い、きちんと問いかけるのなら、多方面から描く必要があると思う。
トイレ清掃という労働者イコール清貧という安易なイメージは、穿った見方をすれば、意識高い系の無自覚な上から目線があるから描けるのだと思う。
つまり、労働者の日常を覗き見て、「日常って素敵ね」と、安全な場所から呟いているだけの映画に感じてならない。
dai

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daiさんの鑑賞した映画