眠る猫

PERFECT DAYSの眠る猫のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
やっと見ることができた。
PERFECT DAYS とは?
何か特別なことがあるわけじゃない。
毎日ご近所さんの掃除の音で目覚め、顔を洗い、髭を剃り、歯磨きをして、家のドアを開け、空を見上げて、コーヒーを買って仕事に出かける。
仕事を丁寧にこなし、地下街の飲み屋に行き、銭湯に行く。休みの日にはコインランドリーに行き、撮りためた写真を現像にだし、受け取り、本屋に立ち寄り、行きつけのスナックに行く。
同じことの繰り返しの中に、日々少しずつ違うことや出会いがある。
そういった日常の日々を完璧といえるのかもしれない。

台詞が多くあるわけじゃない。
小津作品のようでもある。見ているこちらに想像し考える猶予がある。
最近は全て答え合わせが揃ってないといけないような風潮があり、少々疲れる映画も多いけれど、こういった、役者の表情や映像で楽しませる映画は見ていて惹き込まれる。

名バイプレイヤー勢揃いといった感じで、台詞もない役にも多くの役者さんが出演。

野球と宗教は人それぞれに笑った。
ママが石川さゆさんのスナックはそりゃ行きたい。歌も聞きたい。
いい大人の男2人で橋の下で影踏みをするのが、なんとも切なくて良かった。
公園で会う人だって、どんな人かなんて日常でも知らないわけだから、映画の中でも分からず過ぎ去って行く人がいてもいい。

役所広司さん演じる平山はどんな過去を背負ってここにいるのだろうか?と想像が膨らむ。

最後の平山のアップの表情がとても良い。笑顔から少し切ない表情になり涙ぐんだり再び笑顔。
ラストカットの朝日(と思う)で再び1日が始まる。

いい映画だった。
眠る猫

眠る猫