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PERFECT DAYSのまっとのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
ヴィム・ヴェンダースといえば、ロードムービー。これもまた都内のトイレを巡るロードムービーなのか。
桜橋を自転車で走り、銭湯、スナック、古書店、なぜか柴田元幸が店番している写真屋などへの行き来も、ささやかな幸せを見つける旅に思えてくるから不思議。

そして、某先生がかつて「パリ、テキサス」で指摘した通り、ガラス越しショットへの偏愛がこの作品にも溢れている。
車内でカセットテープの曲を聴く二人をわざわざ車外からウィンドウ越しに撮影したり、コインランドリーのサッシ越しにスナック前に佇む二人を捉えたり、フロントガラス越しの泣き笑いの主人公どアップなどなど。

主人公の名前が平山。もしかして平山周吉由来?小津好きにも程がある。

古書店の犬山犬子が、平山の買う文庫本の本質をずばり一言で語るが、あれは平山への予言にも聞こえる。「四畳半神話大系」の占い婆みたい。

姪のニコは、自分は「すっぽん」のヴィクターにそっくりと言っていたが、あんたは鍋で茹でられるすっぽんかもしれないよ。人は皆すっぽんでありヴィクターでもある。だからせめてもの抱擁をするんだよ。

しかし、この映画を見た外国人たちは、日本のトイレって変わってるなあと思うに違いない。
「東京画」におけるタモリ倶楽部OP、合羽橋食品サンプルに匹敵する不思議な日本の姿である。
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