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PERFECT DAYSのkirinのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

WOWOWで放送してくれたおかげで、見たいと思っていた作品を見ることができました。独日のセンスの融合が感じられる作品でした。

主人公は納得のいく出来の良い仕事をして、読書や自然や音楽で日常生活の中に喜びを見出す。私には共感できる生き方。身の回りを整理して好きなものに囲まれて日々そう楽しみたいと思うようになった。

一緒に見た20代の子には平山より若い同僚(柄本時生)の演技に興味津々だったが、いろいろと経験してある本作の主役の年齢になったら平山にしみじみとしたものを感じられるようになるだろう。

お金持ちの実家と決別した経緯は、金儲けの価値観を押さえつけられる厳しい教育に反発したってことかな。

主人公は独り暮らしだけど、情がある。助けを必要としている人を助けるし、人からの癒しも求めている。助けた子供が手を振ってくれたり、行きつけの店を作って店主に「お疲れさん」と言ってもらえる時の笑顔がたまらなく明るい。

そして、心を寄せる人のことが気になって酒をあおるほど傷つくさまには驚いた。やっぱり人は心のよりどころを求めるものなんだ。
ひとり暮らしは自由だが、仕事あっての生活だし、年を重ねると伴侶が欲しくなるのは最近の高齢結婚の風潮を表しているのだろうか。
空き地になった土地が前に何だったか思い出せないおじいさんが出てくるシーンがあったから、老いていくことを目の前にして、小料理屋の女将さんと新しい生活を踏み出していくのかなということを彷彿とさせる笑顔がにじみ出た幸福感のあるラストだった。善行を重ねて幸福を得られる流れもよかった。

私の中で長撮しのラストシーンの顔が印象に残るのは、「永遠の0」の岡田准一と、本作の役所広司。彼の表情の演技は圧巻でした。
石川さゆりの歌もよかったし、元夫役の三浦友和のキャラも良かった。

最初に出てきた本「野生の棕櫚」の「棕櫚」が読めなかったので何だろうと思ってつまずいてしまった。監督は日本人なら当然読めると思ったのかな。英語の選曲も素敵で考え抜かれていると思うので物語に合った字幕が付いていたらより分かりやすかったかな。
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