アメリカに移住してから大分と経ちました。
日系アメリカ人のおばちゃんが「最も素敵な映画」、日本好きのアメリカ人女子高生が「美しい映画だから観てほしい」と。やっと鑑賞。
・めちゃめちゃ綺麗で高性能トイレ
・畳に布団
・ママチャリ
・やたらと几帳面でやたらと無口なおじさん
・銭湯とコインランドリー
・大相撲とプロ野球
・駅地下の常連に支えられてる飲み屋
などなど、昭和から平成の日本のステレオタイプというか、日本のプロモーションビデオとでもいうんだろうか。「あるある」だけどそうでもない、ってことが詰め込まれている映像の連発に違和感を覚え続ける前半30分。
照明の効果で不自然なほど美しい日本の情景、「ああ、日本ファンの人にとっては、これはハマるんだろうな」と、そんなのが続く映画だと思ってたんです…けど、
突き抜けるようなショット、映像の美しさと、
役所広司の演技が凄すぎて、あ、これは自分の偏見が入った浅ましさがあったんだな、と気づかされました。
日本を知ってるから演出に違和感を覚えているだけであって、この美しさには罪はない。例えばこれがフランス映画だったとして、我々は「リアルなフランスはそうじゃない!」なんて違和感は覚えないはず。
凝り固まって映画を観ていた自分に気づいて、それからこの映画の美しさに気づいた。
よく考えたらあの、家から出る時の玄関先で空を見上げる時の役所さんの顔、凄すぎる。
「何も変哲もない今日という1日こそ、完璧な1日」ってのが、表情から伝わる凄さ。これがその日の出来事によって演技仕分けられるってどういうこと?凄すぎる。
最後の運転のシーンの喜びや寂しさ、孤独さとか色々と織り混ざった複雑な表情をワンカットでいろいろと見せられたら、
うわ!美しい映画!と、結局単純明快な感想でしかなかったです。
名作!