特売小説

メイ・ディセンバー ゆれる真実の特売小説のレビュー・感想・評価

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事実を浮かび上がらせようとする際の角度と言いますか、物語としての構造と言いますか。

或いは他人のセックスを鏡越しに見てシコるみたいな、シコるとは即ち隠語、具体的にお伝えしますと性的興奮を覚え硬くなった陰茎、詰まりが砕けた言い方でお伝えしますとおちんちんを自らの右手、もしくは左手で優しく、或いは個々の好みにより強めに握りまして上下にその詳細はどうでもいいですかそうですか、もしくは精巧に作った街の模型の中にドローンを飛ばして空中遊泳を疑似体験するみたいな。

自分は今どの立場、どの距離感で映画としての本作に立ち会っているのか頭がくらくらしてくるみたいな。

端的に言えば観客に物語を、或いは自分ではない誰か、けれどもしかしたら自分だったかもしれない誰かの人生を、追体験させる為の工夫、それが見事で以てまぁ興奮しましたよね。

キュウのツッコミ清水誠よろしくめっちゃええやんてなりましたよね。

歳を重ねりゃ自動的に大人になる訳じゃないなんて事は無駄に歳を重ねた今に至るまでもなく承知の事実、或いは自らの劣等感からそれは人生経験こそが左右するものだと決め付けておりましたが実際のとこそうでもねえなと、世の言う大人と自分が思うそれとの間にも齟齬だか乖離だかがあるだろうけれども、そんな事を考えさせられましたかね、と。

それと。

舞台がずっと東尋坊なのかと思わされる仰々しくベタな劇伴が一周回って楽しかったすかね、と。
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