歌うしらみがおりました

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命の歌うしらみがおりましたのレビュー・感想・評価

3.5
前作が微妙だったのであまり期待していなかったけど、フツーに面白かった。暖色の照明が美しい映画に外れなし(は言い過ぎかもしれない)。

序盤、エドガルドの父親と母親とが会話しているシーンで、後ろにお手伝いさんみたいな女性が作業しながら明らかに聞き耳を立ててつつ歩いているのだが、母親が煮えきらない父親の態度に痺れを切らし「もういい、私が行く」的なことを言って立ち去ると、向こうに行こうとしたお手伝いさんみたいな女性がこちらを向く。この一連の流れで一度もお手伝いさんみたいな女性にピントが合わないのがとても気持ち良かった。

教皇が割礼される悪夢はなかなかふざけてて良かった。何回夢オチするんだよと思ったが。

ローマの教会での父親とエドガルドの面会シーン、最後にキスしてエドガルドから離れる瞬間にカットが変わるんだけど、そのタイミングが絶妙で、アッとなった。

ローマ教皇の棺を移送しているところを襲われるシーンで、エドガルドも一緒になって絶叫しながら車をバンバン叩いて走り去るのも良い。そんなことしても協会に戻り、死に際の母を洗礼しようとしてしまうのが人間なのだ。

あらゆるものとの分断が象徴的に捉えられたラストカットは、今年ベストとは言わないまでも大分上位食い込みそうな切れ味。