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落下の解剖学のskのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

オープニングで映し出される家族の写真、何の変哲もないんだけどなんとなく不気味で、やっぱり写真ってなんか怖いよな〜と思った

「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」とか「ブルーバレンタイン」みたいなドロドロ夫婦地獄映画が大好物の私にとっては、夫が死ぬ前日のエグい夫婦喧嘩の録音が法廷で流されるシーンだけで白飯5杯くらいいけそうなくらい楽しかった🥰

夫婦喧嘩の中身はまぁわりとよくある話なんだけど、仕事ばっかりで家事育児を全然しない上に不倫までしてるのが"妻"で家事育児を押し付けられて自分の時間が取れない!ってキレてるのが"夫"っていうのが現代的というかフランス的で面白い

疑惑の妻が不倫しまくってる上に開き直ってたり、盗作紛いのことやってたり、自分に好意を持っていた男に弁護を依頼したりとなかなかのクズで、全然清廉潔白じゃないところも女性に媚びてなくて好印象😂

それでもあの夫婦喧嘩に関しては妻側の言い分に共感してしまった🙂
夫は結局何の実績も残してないし、計画性も無くて行き当たりばったりのくせに他責思考で被害者意識が強いし、お金を稼げない方に家事育児の負担が偏るのは仕方ない気が…😇
妻も最初からヒステリックなわけじゃなくて冷静に会話しようと努めてるのに夫がウジウジねちねち神経逆撫でしてくるんだもん…むかつくよ笑
だからと言って何言ってもいいわけじゃないけどね🤷‍♀️

裁判に勝って、夫は自殺ということになったけど「夫を殺したかもしれない妻」から「夫を自殺に追い込んだ妻」になっただけなんだよなぁ笑

個人的には今作は息子ダニエルの成長譚のようにも思えて、そこがただの夫婦地獄映画との違いだと思った🤔
最初は11歳の子どもにとってお父さんが死ぬだけでもショックなのにお母さんが殺人犯かもしれないなんてあまりにも酷すぎんか?可哀想に😢って正直憐れんでたけど、メンタルを気遣う裁判官に対して「もう傷ついてる」って言い返したあたりから「周囲の大人たちに振り回される可哀想な子」みたいな雰囲気が無くなって、物語を引っ張っていく核のような存在になっていくダニエルの成長と適応能力に感心した👏
子どもだと思って舐めてた、ごめんダニエル🙏
まあ大抵の子どもは大人になってから自分の親の苦労や苦悩や大変さを思い知ることになるけど、11歳でこんな経験をして否が応でも成長せざるを得なかった時点で気の毒ではある…

愛犬スヌープの存在感にはパルムドッグ賞も納得🏆
というかパルムドッグ賞の存在を初めて知ったんだけど、調べてみたらカウリスマキの「過去のない男」のハンニバルも受賞してて笑った🐕

劇場で初めて予告映像を観た時からかなり期待してた今作、予告ではもっとヒリヒリしたミステリーっぽい雰囲気だったけど実際はほぼ法廷劇で、謎解きとか真相自体はあまり重要な要素ではなかったから、思ってたんと違うって感じる人は多そう

どんでん返しとか意外な結末とかエンタメ的な要素もほぼ無いから、白黒つけたい!カタルシスを得たい!みたいな人には合わないかも🤔
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