ノクタン

落下の解剖学のノクタンのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.1
映画に翻弄され続ける2時間半。たまらんです。
法廷劇としての緊迫感と楽しさは言わずもがな、そこに男女の格差など現代的なテーマを巧みに取り入れることで、非常に複雑で入り組んだ作品になっていてとにかく見応え抜群。素晴らしい脚本。

ほんでサンドラが「やった」とも「やってない」とも思えるのがすごい。今これを書きながら思い返しても、「アレがアレでこうだから…さすがにやってないよな。いやでも絶対やってるだろ。」っていう謎すぎる思考を繰り返してるという。

どんなに厳しい証拠が出てきて、検察官が憎たらしい質問を飛ばしてきても、大きく取り乱すことなく答え続けるサンドラの姿は、身の潔白を信じているがゆえと捉えるのが自然なんだけど、そこになんともいえぬ不気味さが漂ってるというか。
そんな風に良い意味での気持ち悪さを残すザンドラ・ヒュラーの演技は、「哀れなるものたち」のエマ・ストーンみたいなトリッキーさこそなくとも、インパクト絶大な名演だと思う。
ノクタン

ノクタン