ダースポール

落下の解剖学のダースポールのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
5.0

傑作。大傑作。

夫婦喧嘩のシーンがあるんだけど、それは映画史に残る名シーンです。
悪いけど『マリッジ・ストーリー』の喧嘩シーンなんて、足元にも及ばない名シーンです。
そのシーンは、共働きの夫婦には確実に突き刺さります。

夫婦関係、親子関係、それはいつも順風満帆なわけではなく、時として茨の道。
それを深く掘り下げた人間ドラマとして、かつ、エンタメ性にも富んだサスペンスストーリーに、現在のところ、今年の暫定1位映画です。

人間ドラマとして深く考えさせられ、犯罪サスペンス、法廷サスペンスとしても申し分のない面白さ。
しかもこの映画の面白さは、鑑賞中だけでなく、鑑賞後も更に面白い。一粒で二度面白い映画です。


以下、ネタバレ。
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主人公の奥さんに激しく感情移入していたので、終盤に連れ、胸がざわついた。きっと『推定無罪』のような安っぽい終わり方になるんだろうな、って。

ところが意外な結末には胸を撫で下ろし、半端ない脱力感だった。

すんげえ面白かったし、観終わった現在もあれやこれやと考えさせられていて、まだ面白い。
面白くって、深く良い映画だった。

ただ、白黒ハッキリせず、灰色のまま終わるタイプなので、その点で人を選ぶ映画です。
自分はこのタイプは大好き。