クロ

落下の解剖学のクロのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
見に行く直前にアカデミー脚本賞受賞の速報があり、期待値爆上がりで見たのでちょっと肩透かしを食らってしまったかも…。というか、期待していた方向性とは違った。

ただ、見終わってしばらく思い返したりしていると、じわじわと面白味が分かってくる。

法廷で明かされるのは本当に「真実」なのか?
それぞれが語る「真実」はその人にとっての「真実」でしかなく、無意識に、あるいは恣意的に歪められることもある。物的証拠でさえ、思い込みで受け取り方を歪められたりもする。
そして法廷は何が真実かを「決める」だけで、結局のところ、真相など分からないのだ…。

フランスの法廷は不規則発言や誘導尋問OKなの?というのも気になった。アメリカの法廷ものとかなり違う。検事って本当にあんな感じなの?

妻が仕事で成功し、夫が家事育児のせいで仕事に専念できない不公平を妻にぶちまける、という夫婦関係も面白い。あえてジェンダーを逆にしていて、これって男性と女性でこの映画の感想が大分違ってくるんじゃないだろうか?

そして主演のザンドラ・ヒュラーがとても良い!アカデミー主演女優賞、取れたら良かったのに。『関心領域』も楽しみ!
クロ

クロ