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落下の解剖学のながののレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
とある男性が自宅の屋根裏から転落して死亡。
それは果たして事故なのか? それとも男性の妻が殺害したのか?
という惹きをもったヒューマン法廷ドラマ。
正直サスペンス要素はあまりない。
状況証拠だけで起訴されてしまった妻が、裁判によって夫とのドロドロした関係を剥き出しにされていく。でもって両親のそんな関係を知らされてしまった息子は……というのがこの映画の核。
なので法廷ドラマらしい逆転に次ぐ逆転とかみたいな展開はない。
法廷映画のカタルシスはないと思う。
でも、見応えあるんだなぁ。
とにかく夫婦のやりとりが生々しい。
人によってはグサグサ胸を突き刺されるのではないだろうか?
それを教えられる息子はキツすぎる。

そんな感じなので、ラストもモヤモヤ。
ひたすらモヤモヤ。
でもまぁ、計算され尽くしたモヤモヤ感という感覚。

母と子のラストカットが無茶苦茶意味深。
あれ、もしかして……みたいな。

そうした人の細かい機微をきっちり演技で見せてくれる主演女優さんすげぇや!
と拍手したくなった。

それ以上に凄いのが犬。
CGなんか? というレベル。
可愛すぎだろあの犬!
ホント酷いことにならなくて良かった。
それでもきつかったけど。


全体的に完成度が高い。
ただ、心の機微に重点置いてるせいか、ちょっと1シーンが長くてクドくも感じた。
あんまり映画テンポはよくないかも。

裁判始まるまでが長くて、少し眠くなってしまった。
ただ、その辺の眠気は裁判パートになった途端吹き飛びはした。
それくらい迫真の裁判シーンだと思う。

人として、男として、親としての尊厳を破壊されてしまった寝取られ男の最後の復讐──みたいな印象だったかなぁ?

エッチなシーンは無し。

2024年57本目

2024年劇場11本目
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