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落下の解剖学のボロロボのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
なかなかタイミングが合わなかったが、やっと観られた。

タイトルどおり事件のアレコレを分解していくのかと思っていたら、意外とそうでもなくて。物理現象としての《落下の解剖》は中盤までだった。

曖昧さ。複雑さ。はっきりと区別できないコト。
だが、そういったアレコレに対する選択を迫られるのが、哀しいことに世の理だったりする。

ミステリーから法廷劇へスイッチしながら描き出すのは、単純ではない家族関係。
刑事裁判の評決は曖昧では済ませられない。事実を積み重ねて判断せねばならないが、積み重ねられるだけの事実がない場合であっても有罪か無罪かを選ばねばならない。

家族関係におけるいろんなコトがはっきりとしていなかったり、どちらとも言えなかったり、白黒や裏表で明確に分かれていない。
夫婦関係。
親子関係。
妻の不倫相手の人数。
妻の性的嗜好。
息子に起きた事故とその責任。
息子の視覚障害。
その他諸々。

夫の主張は、分からんでもない。僕も似たような思いに至ったことはある。が、それは一方的に主張できるコトではないのだ。夫婦は協力関係にあるのだから、と個人的には思う。
その一方で、妻の正論に対しては「何だかなあ」と思う。それはそれで間違ってはいないものの、そのままぶつけてしまえば喧嘩にしかならないし、建設的ではないのだ。
では、どうすればいいのだろう・・・我慢する? 共有する? うーん、どちらもしっくりこない・・・愛情だけで乗り越えられるものでもなさそうだし・・・。
許容と信頼と愛情、それらがバランス良く混ぜ合わさった関係じゃないと夫婦は成立しないのだろうなあ(遠い目)。

終盤、テレビ番組の司会者が語るセリフにゾワッと寒気を感じた。当たってる、当たってるだけに・・・。

ぶっちゃけ尺は長くて中だるみを感じてしまうところもある。故に娯楽性は低い。
パルムドール🤔 アカデミー脚本賞🤔
ラストまでは随分と引っ張るので「まさか?」といろいろ邪推してしまったが・・・ジワッと切ない一方で、ラストシーンの解釈次第ではかなりモヤモヤするなあ、と思った。

カメラワークは秀逸。
ピントの合わせ方。
どこから撮ってるか。
人物を捉えながらパンで緊張感と心情を描き出す。

犬の名前はスヌープ。
スヌープ・ドッグ、ってこと???
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