フレンチアルプスの山荘に住む三人家族。そこで夫が山荘から落下する。タイトルは『落下の解剖学』[原題：Anatomie d' une chute(Anatomy of a Fall)]。タイトルにひかれた。フランス語のchuteは「失敗・脱落」という意味もある。物理的な「落下」だけでなく、人生からの「脱落」の両方の意味もあるかな、と思った。いろいろな人たちが、それぞれの立場で事件を暴いていくという意味で、事件を解剖していくということか。夫はフランス人、妻はドイツ人、もともとはロンドンに住んでいたようだが、フレンチアルプスに移り住み、夫婦の共通語は英語。子どもはフランス語を話す。多言語環境がいかにもヨーロッパ的。事故か、自殺か、殺人か？ 最後まで観ていて疑惑だらけで話がすすむ。
