K

落下の解剖学のKのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.7
人というのは、時に思ってもないことを口にし、一方で思っていることを外に出さないものだということに気付かされる。
証拠という目に見えるもの、現実に存在する事実の脆さ。
目には見えないがその人同士の関係性ゆえに感じ取れるものの確からしさ。
普段生活していると、目に見えるもの・耳に聞こえるもの・口にされた言葉ほど信頼できるものはないと感じてしまうが、事実が必ずしも真実とは限らないかもしれない。
何かを信じすぎているとき、疑いすぎているときに、この作品を通じて得た気付きが自分にとって拠り所になってくれたら良いなと思う。

かなりの長編で自分には根気のいる鑑賞だった(そしてスカッとするようなストーリーでもない)けど、ひとつひとつの掛け合いにおける台詞と演技に魂がこもっているようで随所に引き込まれた。法廷シーン(特に息子の証言)は必見。
K

K