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枯れ葉のmat9215のレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.5
辛気臭い顔つきをした男女の不器用なすれ違いラブストーリー。30年前のカウリスマキ映画なら、マッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンという、極め付けの辛気臭い顔つきコンビがカップルを演じるところだ。臙脂色や濃緑色の壁面にミニマルな家具が配置された屋内には、大きなラジオが設置されていて、ロシアがウクライナに侵攻したニュースを繰り返し流す。前作『希望の彼方』では、現実世界そのものの難民と、カウリスマキのファンタジー世界の共存に無理が感じられた。本作における現実世界はラジオからの音声に留まる。もちろん、製鉄所や建設現場の過酷な労働は描かれるけれど、それはカップルたちの境遇を示すために機能している。例によって音楽の扱いもうまい。カラオケバーで「美声」を調子外れに歌う男には微苦笑。そして、カウリスマキ世界そのものの歌詞を歌う女性二人組は、マウステテュトット(Maustetytöt)というユニットだった。Apple Musicにあるプロモビデオはカウリスマキ世界そのもので微苦笑。
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