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枯れ葉のrenのネタバレレビュー・内容・結末

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

初めてのアキ・カウリスマキ監督作品の鑑賞。なんと贅沢な81分。
孤独な中年男女がカラオケバーでたまたま出会い、それからひょんな出会いを繰り返して三度目の正直でお茶をして映画に行く。
紙切れに連絡先を書いて「またね」と別れて、すれ違いを続け…と、特に劇的なことは起こらず退屈になりそうな展開なのになぜか面白い。
そして、監督の映画愛がよく伝わるのもニヤニヤしてしまう。彼らが最初のデートで見た映画はジム・ジャームッシュのゾンビ映画(いきなりアダム・ドライバーの顔が出てきて可笑しかった)、映画館の壁のポスターには気狂いピエロ、犬の名前はチャップリン(犬がとてもとても可愛い)。
劇伴の曲のチョイスも最高。何語なのかよくわからない曲ばっかりなのだが、耳から離れなくて帰り道繰り返し聴いた。無表情で歌う女性二人組がなんとも印象的。
携帯電話があるのにメモでやりとりするなど一応現代設定なのに大昔みたい。時代感が混ざっているというか、独自の時空のファンタジーのようなのに、厳しい労働環境や戦争を伝えるラジオなど現実の延長上にもあるような不思議な感覚にどんどん引き込まれた。
アンサの部屋のセットの「この映画のために作られた部屋」が見ていてなんとも心地良い。(ゴミ箱とか)

好きなシーンはたくさんあるけど、なんと言っても貰ったメモを秒で失くすところ。笑ってしまった。
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