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枯れ葉のTheCharacterのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
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ハッピーヴァレンタイン。

カウリスマキと同時代を生き、作品に触れられるのは真なる幸福である。労働、レザー、酒、煙草、音楽、時々コーヒー、時々映画。等々...。基本は何も変わらない。やっぱり失業。やっぱり求職。制服、作業着、好きだよね。個の、近距離の世界に加え、前作から顕著な世界への眼差しも再び付加。同時代性を、とても悲しい方法で。かと思えば、おかしな"現代"が出てきたり。あんなネカフェある?そして、スマホは無し。それで良いよね、カウリスマキだもの。

普遍的なもの、ベタな表現に力み無く向き合い、こなしている印象も。いや、そもそも力みの無さが大いなる魅力の一つではあるけど。ロマンティックな弦楽をさらっと流してみたり。意外。アルコール依存の描写とか。考えてみれば今までヘルシーにやってきたな。でも煙草は?まあいいか。何より、登場人物の表情が案外柔和。そして若者がちょこちょこ出てくる。中高年ばっかり撮ってるもんね。ただ若いだけで目立ってしまうのが凄い。印象的なバンドも。人種も微妙ーに拡がっている。バトンを渡していく意志なのか。そんな境地に彼はいるのかも。

服から、ロケーションから、やっぱ色彩が良くて、とてもさり気なくお洒落。何処まで考えられたものなのか判然としないのが凄い。気持ちを服に、音楽に込めるってことをよくしてきたけど、今回はその愛おしさ、いじらしさがより強かった。これは愛のお話。それに尽きるのかなー。『ずっとひとりで生きてきました』、そんな人を描き続ける監督だけど、他者を招き歓迎する、また、招かれる為の用意の描写。そんな逆説的な孤独の描き方が際立っていたように思う。基本は衒いなく、分かりやすく。全編そんな心がけがあったのではないか。引退宣言なんてしていた割に、実は今めっちゃ良いコンディション?この人には作り続けてほしいなあ。結局アップデートが続いてるんだもん。凄いよ、それって。

邦題は『枯れ葉』だが、どちらかといえば『落ち葉』なのかなと思ったり。この作品の名付けって結構難しいかも。その映画観るんかー。シネフィルが出てきたり、映画、映画館の存在感が妙に強め。今更ながらの映画愛?出入口で即別れていく人々も印象的。そんな関係も悪くないかも。

アキさん、ずっと元気でいてくれよな。笑顔で会場から出ました。また映画色々観ようかなー。
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