観る映画というより体験する映画なんだろうね。
序盤で大体、時代背景、状況、タイトルの意味とかはわかるし、そこから与えられる情報はそれほど真新しいものじゃない。
けど、この時間この空間を共有したように映像を見せられることで、その異様さ、非現実をも思わせる現実味が体験できる。
頭はぐちゃぐちゃにならないのだが、心がぐちゃぐちゃになる。
脳と心は離れている。それを実感させられてしまうし、痛感する。
矛盾だらけの世界に対して、どこに関心を向けるかで180度見方が変わる。
けど180度回っても地球は丸いし、どこが上でどこが下になるかというだけ。
座標を脳が決めているだけ。
心は常に真ん中にあるのに。
映画としていちジャンルであることは間違いない。
決して幸せにはならないこの映画は、観るべきなのか観せられるべきなのか。
作られるべきなのか。
映画としての芸術の種の保存に価値があるのだろう。
