Rocco

関心領域のRoccoのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

オスカー発表後、最終上映に滑り込みセーフ。インデペンデントな映画館で英語字幕で観てきました。場所柄か30代~40代のカップルが多かったです。

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お父さんは頑張っている!

アウシュビッツは、強制収容所さえなければ美しい自然に恵まれたポーランドの田舎なんだなと改めて。

ルドルフ・ヘスがやったことは最大級の戦争犯罪で、そこに同情の余地は一切ないけど、この映画ではヘスの家族に対する深い愛情だとか、仕事への忠誠心、几帳面な仕事ぶりとかを描いて、彼もまた一人の狂人に操られた平凡な人間だったのかもしれないと思わせる。

特に怖いのは妻。転勤が決まっても夫だけ行ってこいとか、ユダヤ人の使用人にいきなりブチ切れパワハラする恐妻。悲鳴や銃声等が聞こえても、聞こえていないのか普通の生活音であるかのように暮らし(家族の中で唯一夜眠れる)、5人の子育てが終わるまでここに残りたいから夫一人で赴任地にいけという。彼女は実母を呼び寄せ、贅沢な生活ぶりを見せるけど、実母のほうが絶えられなくなるのが象徴的。子供たちは完全に悪い影響を受けているけど、親の前でそういう姿は見せない。

画面がいきなり真っ黒になったり、真っ赤になったり、始終不穏な音楽が流れる。ヘスは途中吐くけど、強制収容所では、女性達が淡々と掃除をしている。ひたすら磨くウィンドウの中には、ガス室で命を落としたユダヤ人たちの大量の靴。

反対側の暮らし、反対側の人間。
サンドラ・フラー、へんてこりんな髪型で、ここでもとりつく島のない妙に強くて合理的で感情に乏しい女性を上手く演じてました。って、まさか地じゃないよね。信じていいよね。
Rocco

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