ヨシノ

関心領域のヨシノのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ずーっと重たかった。地鳴りのような音が。ずっと糾弾されていることが。息苦しかった。

地獄と平穏な日常生活の距離をそのもの壁一枚にまで近づけて描かれたこの映画は、この世界となんら変わりはなかった。ガザでの虐殺と我々の/私の日々の営みの距離と何が違うというのだろうか

音が本当に素晴らしいというか凄いのですが、川の骨と風呂場の場面とか・夜中に刺す炎の光とか・石灰とか・子供服とか、細かな最悪描写達も本当に最悪だった

馬のシーンとか、パーティとか、刈り上げとか、こいつら馬鹿だなって描写が直ぐにこちらに降りかかってくる

導入が、この映画は音でいきますんで宣言で上手

ラストの現実と地続きだというシーンも見事なのですが、それすら圧倒的に凌駕するような現実世界の有様が最低だ。無論てめえはどうすると投げかけられている

こんなに映画以外のことを考える映画ははじめてだったかもしれない。観ているんだけど映っていないものをみている。ドイツはある程度戦争での加害について反省もしているのだろうが我が国はどうだ。気にしない方が気楽に暮らせるのはごもっともだがそれはどうだ。今まさに殺されている人達が。など。

象徴的/精神的なあそこだけ収容者目線?なサーモグラフィ的な場面について理解を深めたい

こんな映画はじめて

途中から心地悪い重たい音に慣れてきていてやばかった。いざとなったら俺完全にそっち側になれる人間なのかも(というかいまも...)

映画館出たら全員がヘス家の人々に視えてきてやばい

ずーっと聴こえてる(し、実際ずっと鳴ってる)

でもどうのこうの言いながら結局なんにもしないんだと思う。だからこの映画がこの世界に似てるんだと思う。

追記:
撮影のやり方、というか映画の作られ方が語られた短い宣伝用YouTube動画を観て度肝を抜かれた。HANA-BIの特典映像を観て"よくこんな環境でこんなに素晴らしい映画が撮れるな(人が多すぎる)"と思ったばかりだったので真逆すぎておもろい。想田監督の観察映画と同じ質感を感じた理由を知れた気がする。

追記:
そんなにま隣りに建てるなよ!もうちょい離せよ!
ヨシノ

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