李

関心領域の李のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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「主人公の2人も最初は夢を語り合う恋人同士だった、彼らが望むものは私たちと変わりない」(監督)

開幕からただならぬ雰囲気。不快な音圧、彼らの視界には入っていない背後の黒煙、銃声、怒号、悲鳴。恐ろしかった。まずA24の映画に関して、原題の状態で楽しみにしている期間が長いため邦題が何になるのかもひとつの楽しみにしているのですが、「関心領域」、直訳且つ簡潔でとてもナイスです。どんなことも日常の一部になってしまえばひとの関心領域から外れていく。自分にも心当たりがあると同時に、映画が進むにつれいつ終わるんだろうと考えてしまった自分(映画への関心が薄れていく自分)にも嫌な気持ちになった。結局ひとは自分の関心のあるものにしか目を向けない。「画面の中の一家に嫌悪感抱いてるかもだけどちなみに普段の君らも同じだよ」と不快にさせる計算がされているような不快さ。ひとの悪な部分を提示され、自分もその一員であることに嫌気がさす映画に連続で当たっております。毒々しいお花が描かれたオルタナティブポスターのデザインがとても好きなのですが、パンフレットの表紙に同じお花が描かれていて嬉しい。ゆっくり読んでみます。そして、劇場結構人がいたのですが、ポップコーンを爆音で咀嚼する人等々おらず久々に不快な気持ちにならず鑑賞できた。作品自体が不快だったけど。映画としてはよく出来ているなあとしみじみ(いかにも評論家ウケが良さそう)。
李