信濃の肉うどん男

関心領域の信濃の肉うどん男のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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不安になる冒頭で何かを待ちわび鳥の囀りに安心した。凄惨な事実が文字通り背景にある恐ろしい芸術作品。日本は芸術性が高くなると低評価なりがちなのが悲しいが。終始完璧な構図と良い画の連続。断然我は画に魅入り音はおまけ。壁がある事で我の好きなカメラ横移動も存分に味わえる。当然アウシュビッツの凄惨な描写は一切無く音で表現される。冒頭や時々入る洗脳実験の様な画面と音で錯乱しそうになり、正に体感型映画だ。戦時中と戦後ドイツの歴史に興味関心が尽きず、事前にもヴァンゼー会議や戦後西ドイツ作品等を観た良い流れだった。そのささくれた心の休憩で観た『ヘンゼル&グレーテル』も今作で関与してきてその偶然に驚く(よくある)。レントゲン風撮影の発想に呆気に取られ、善意か悪意か彼女の行為が童話と重なり、善意ならば皮肉にも林檎から銃声へ、彼女は魔女側になってしまってる。それが戦争下。当時ほとんどの国民はナチスプロパガンダの影響を受けている。その後悪魔退治が世界中で行われるが。えずく彼が見た先に時間軸を超え掃除されるその場が映るシーンが見事だった。間違いなく今年ベスト入りの芸術性。