櫻子の勝手にシネマ

関心領域の櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
予告が面白そうだったので公開日に観賞。

『アンダー・ザ・スキン種の捕食』(2013年)のジョナサン・グレイザー監督が10年ぶりに手掛けた作品。 
アウシュヴィッツ収容所の隣で暮らすドイツ人一家の生活を描いた今作は、カンヌ国際映画祭でグランプリ、アカデミー賞で国際長編映画賞と音楽賞の2部門を受賞。
なんでも、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が絶賛したとかなんとか。

因みに、ジョナサン・グレイザー監督がミュージック・ビデオの仕事をしている時に手掛けたジャミロクワイが動く床の上で踊る『Virtual Insanity』(1996)のPVがめちゃくちゃカッコいいので興味のある人は是非ご鑑賞を♪

本作は2014年にマーティン・エイミスが発表した同名小説を映画化したものだが、内容は原作とは大きく違うらしい。
エイミスの小説にリスペクトを払いつつも、監督自ら大きく変更を施したそうだ。

この映画の核となるのが音楽(音響)だ。
細かい描写を映像で表す代わりに音響で表現している。
銃声、犬の遠吠え、苦痛に喘ぐ人々の悲鳴、汽車が走る音…。
サウンドデザイナーのジョニー・バーンは、当時の目撃者の証言を聞き、600ページに及ぶドキュメントを作成し、収容所の音がヘス邸ではどのように聞こえるか綿密にシュミレーションしたらしい。
1年以上かけて当時の“音”を正確に再現したサウンドライブラリーを作り上げたというから驚きだ。

賛否両論ある本作だが、個人的にはとても面白かった。
『シンドラーのリスト』や『戦場のピアニスト』『ライフ・イズ・ビューティフル』など、アウシュヴィッツを描いた傑作映画と比べると、やや物足りない感じは否めないが…(笑)