すずや

関心領域のすずやのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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隣に収容所があって、なんなら区切られることなくそこからこぼれ出したものが日常に入りこんでもなお"慣れて"しまうのなら、もう、人間になにかを"悪"と断じることなんてできないんじゃないか、という気がする。
そこで悲劇が起きていても、壁1枚、ガラス1枚、区切られていたら、その瞬間"他人事"になってしまう…
人間の関心の範疇がすごく狭いことは社会学的に分析対象になっているしこれまで何度も何度もみてきたことだけども(たとえばこの辺の描写はオストルンドあたりもすごく上手いと思う)、もう、今、これだけ何度もユダヤ人虐殺が映画の題材になってきたのに、それでも実際に虐殺が起きていることが、もう、この映画の示してる答えなんじゃないかな、と思った。
知ったから、あると知ってるから、それが何かを止める手立てになってはいないのが、もう…それでも"人間が殺されているのはおかしい"と思い続けるにはどうしたら…
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