ちんた

関心領域のちんたのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.1
終始不穏な地鳴りのような音がうごめき、その中には銃声や叫び声が混じる。ただ、アウシュビッツの自宅のシーンだけでなく、バカンスでいった湖畔でもベルリンでのシーンでも環境音は強調され鳴り続ける。当初はこの異様な音の構造はあたまの中で整理できず、何かがおきていると認知しているのだが、次第に背景の一部となってしまっていく。この恐ろしさは現代でも同様、パレスチナで、ウクライナでのことも同様となってきてしまっている。時折、さらに不協和音を伴った音楽や暗視映像で撮影されたシーンが挟まり、何かがおこっている、おこるのではという意識が出てくるのだが、結局カメラが捉えるのは変わらない日常。元の状態に戻っていく。人間の興味、感心を計算しつくしたような編集、音響設計には感服した。
この作品も劇場鑑賞大推奨。この異質さを感じ取るには家での鑑賞、ましてやスマホで眺めるのでは全く感じ取れないだろう。没入感あってこその映画。
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