好きな映画と出会った時、描かれていない部分に想いを馳せたりするけれどこれはその逆。見えないけれど聞こえてくるものにずっと恐怖することになる。
加害者側の主観を徹底して描く、という点ではオッペンハイマーとも共通点があるけれど、被害者について一切描写のなかったオッペンハイマーに比べてこの作品は視覚的な部分でも極めて抽象的だったり、非現実的な表現で干渉してくる場面がある。そこは個人的に中途半端な気がした。
前提が一つあるだけで、ごくありふれた家庭や主婦に吐き気を催すほどの嫌悪感を抱かせられるのはすごいことだな、とある意味感心した。
ポーランド人の少女が行動する時、ネガ反転したような映し方をしていたことの意味は何だったんだろう。
