方眼

関心領域の方眼のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.3
2023年”The Zone of Interest”。2分ほど映像が無くいろんな音が聴こえる。耳に集中してねのサイン。川べりでピクニックの家族、戻ってきた瀟洒な一軒家。きれいな庭、花が咲いていて、プールと温室付き。黒い犬と馬がいる。召使の女性、なかに明らかに違う1人が混ざっている。ご婦人の母も来て、生活を褒める。航空機、バイク、自動車、汽車、人工の乗り物は音先で後から映像。日常に末っ子赤ちゃんの鳴き声が頻繁、生活感あり、身近な多忙、幸福感で認知を埋め尽くす効果。生産性と効率を考えて、炉の設計を相談する人たち。目的はともかく、深く考えない。観てるもの、聴いてる音、登場人物のドラマ、常に多層に、混じり合わないものを同時に提示され、注意し、考える。本作観てると「シンドラーのリスト」はインターネット前だなあと改めて思う。異常さ、罪深さ、自分と地続きであることに、凡庸なドラマでは対峙できない。ブラックユーモアでさえも。エンディングの処理が、そこまで駆使してきた映像と音の表現を、逆転、先鋭化。これも犬映画、馬映画として良い。
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