塩湖

関心領域の塩湖のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
ジェノサイド反対の精神が監督と作品にあることを心得ていたし、うごきのある演出多めだから、アート映画だけど見やすかった。画面がやはり研ぎ澄まされている。収容所側にまがっている有刺鉄線の湾曲、これがどうにもおそろしい。手前の家族がその瞬間、絶対的に〈外〉の人達として収められてる。庭の一輪の真っ赤な花がスクリーンを埋め、直後その残像が、庭にいる家族の日常のつづきに重なったのにはやられた。所長が階段を独特のリズムで降りていくシーンも凄まじい。奥行きのなかにぽつんと人がいるのは『記憶の棘』でもヤバかったけど、そこから一気に現在へ繋げる辺りで、ジョナサン・グレイザーが空間だけでなく時間にも眼差しをそそいでいる「映画の人」であることを明確に知る。
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