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関心領域のClubdeLuchaのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
どこにでもいるのかもしれない普通の家族。
そんな彼・彼女らが普通に生活をしている様子が描かれるが、どこか様子がおかしい。
銃声や何かを叩くような音がどこからか聞こえてくるのだ。
しかし、家族はそんなことには我関せずといった様子。
それは隣りにあるにも関わらず、その家族の「関心領域」から外れたアウシュヴィッツ強制収容所で起こっている出来事だからだ。

この家族の状況は決して他人事ではない。
日本という国で、日本人は豊かさを享受している。
しかしそれは他の人を犠牲にして成り立っているものだ。
「ウイグル族の犠牲や迫害の上に成り立つファストファッションを享受している者たち」、「劣悪な労働環境で働くソーシャルワーカーによって支えられている者たち」、「移民や外国人によって成り立っている一部の業界(しかも労働環境は悪いこともある)」などなど。
しかし、我々は悲しいことに享受している豊かさの裏で犠牲になったり迫害されている人たちを「関心領域」の外に置いている。

「関心領域」を広げないという行為は、それこそ、映画に出てきた闇へと続く階段を降りていくようなものである。
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