序盤は結構眠かったが、じわじわと家族間の話になってくると面白さが増してくる。家族の絆とか言い出すところでは「おまえら、ええ加減にせえよ」と言いたくなるんだが、この無関心さがずーっと横溢していて、それは強制収容所のみならず、お手伝いの人の人格や人命そのものへの軽視にも及んでいく。
このヘス一家を眺めて、なんてひどいやつらなんだと言うのは簡単なのだが、一方でこの無関心さ、社会問題、外国人、身近な人……それらに向ける我々自身の視線もまた時に同じものになっていないか、と問いかけてくる。残されたアウシュビッツに、我々は何を思う……。