さやまめ

関心領域のさやまめのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
毎日すぐ近くから夥しい銃声や叫び声が聞こえ煙の上がる環境。それに気を留めず幸せに暮らす人々、という構図……。
子どもたちの無垢で残酷な受け取り方、妻の自分本位すぎる言動、夫の家族を想いつつも平気で残虐行為は続ける矛盾などがひたすらに気持ち悪くて恐ろしかった。撮り方も彼らの日常をそのまま切り取ったようなものになっていてより「無関心」が強調されていたと思う。

そして劇伴…!何回か挟まれるあのシーンは本当に不安を煽るし、エンドロール中の叫ぶような音響では鳥肌が止まらなかった……。他には『Sunbeams』という曲がとても印象的で、調べてみるとホロコーストの生存者が作った歌らしく、歌詞を思い出すと胸に迫る。

映画を通して、関心を持つか否かを、無意識的かつ心の底では意図的に分けてしまっている事実が怖くなった。劇中では特に夫婦の振る舞いにそれが色濃く表れていたと思う。
あと私は視点や音を斬新に感じたからか眠くならなかった一方、確かに衝撃的なことは表面上、私たちが見えている範囲では起きないので寝ちゃった人の気持ちも少しわかるかも。知識不足のせいで理解しきれない点も多々あったけど、個人的にはとにかく劇伴を体感するべきだと思っているので、気になる人はぜひ元気なときに映画館で観てください
さやまめ

さやまめ