りおパパ

関心領域のりおパパのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

話が進むうちに、この物語の主人公がルドルフ・ヘスという名前であることで少し混乱したけど、ナチ党副総統のルドルフ・ヘスとは別人であるらしい。オッペンハイマーを見た時にアインシュタインやシュレディンガーなどの物理学者がたくさん出てきたが、この作品はヒトラーをはじめ、ヒムラーやボルマン、アイヒマンなどのナチ党の有名人がほとんど名前だけだけど出てくる。主人公ヘスはアウシュビッツ収容所の所長。人間の命と尊厳が本当に軽く扱われているその場所から壁一枚隔てて、きわめて平穏で贅沢な暮らしをするヘスの家庭。確かに会話の中や壁の中から聞こえる音から不穏な空気は感じられる。ただ、誰もそれには関心を払わない。「アイヒマンの悪の凡庸さ」と同じ。仕事としてあるいは作業として扱ってしまうと、対象が人間だとか命だとかそういうものであっても、本当に無関心に合理的に物事を勧められてしまう。おそらく、感情移入しないからこそ合理的に職務を全うできる。その延長線上にこの作品はあるような気がする。いずれにせよ、ここまで関心を払わずに暮らせることが、本当に恐ろしいけど、それは現代にもいろいろあるような気がする。
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