たむランボー怒りの脱出

関心領域のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
2.5
収容所のユダヤ人を音のみに閉じ込めることでかえって(?)強く表現しているのだとしたら、ナチ家族の癖強めの画に存在感で勝たなければ浮かばれないと思うが、別にそこまで画に勝っている感じもしない。音に対する感想でよく見るのは「不穏」という印象についてだが、不穏なだけではやっぱり音が負けているんじゃないか…?音が映像を殺しに来るくらいでないとダメだと感じる。ラストにしてもなぜ映像なのか。音が襲いかかってきたからゲロを吐いてしまう、というのではなぜいけなかったのか。声だけにされたユダヤ人はナチスという映画史的に圧倒的に「映える」存在を殺すことのできる力になれたかもしれないのに、ただただ「不穏」な効果のみに貶められたという感じ。音が映像を殺す瞬間を待ち望んでいたのに。結局いくら不穏な音を使っても同じく不穏な映像と不穏というポイントで「調和」してしまっている時点で音が負けてるんじゃないか。音と映像はデフォルトだと圧倒的に映像優勢だし、ゴダールの映画くらいにならないと決して対等にはならないものだと思う。音と映像の調和とされているのは結局は音の映像への従属でしかないと思ってる。本当に対等な関係になったとき映画は訳の分からないものになるんだろう、そういう映画を見てみたい!