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関心領域のmasatのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
2.0
想像を上回り、期待を下回る。
大した事なかったと思ったが、
自分は一体、何を期待していたのか?
そう、『記憶の棘』(04)や『アンダー・ザ・スキン』(13)のアレです。

厳格な画、厳格な動き、厳密な役者、荘厳を超えエッジの立った音楽。これ以上ない空間は目の前に拡がったが・・・
シチュエーション、舞台設定が、誰も考えなかった場所なのだから、もっと攻めても、いや、もっとフィクショナルな“意訳”があっても良かったのでは無いか?

奥行きのあるフレームの彼方に、煙突から黙々と煙が吹き出し、やがて炎も姿を現す。密室の中で、全てを焼き尽くし、行き場に困った炎が、煙を逃す煙突から噴き上ったのだ。

そんな恐ろしい瞬間が、微妙ながら、あるにはある。
そもそも異常な行いが繰り広げられた場所を、すぐ隣の空間から“感じ取る”、その“気配”の異様さを体感するアトラクティブな企みの映画。その狙いは的確なのだが、映画本来の特性“見世物”趣向と言う側面の応用は・・・企画性と言う意味に於いて大成功だと思うのだが・・・

クライマックス、ある時間的飛翔が、突然入るのだが、そこに映し出される淡々と作業する女性たちが面白い。
あの(敢えてお馴染みと言おう)すべてを“灰”にした空間を、営業時間前に丁寧に掃除するのは解るが、その箒で掃かれたチリの中に人間のカケラが入っているのではないか?と思うと、ここはある種の外連味なのだろうか?ジョナサン・グレイザー的なギャグだったら、それこそゾッとして笑えるのだが。
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