このレビューはネタバレを含みます
日曜の夜に見る映画ではなかったかもしれない。精神的にしんどい映画だった。
アウシュビッツ収容所の塀を挟んだ隣の家で平和に暮らす家族の話。
引きの映像が多く、一見すると家族の何気ない日常が淡々と流れているだけのように見えるが、塀の向こう側で上がる煙や銃声や悲鳴等から、すぐそこで何が起きているか想像させられる。
塀が象徴的に見えるからか、関心があるのは塀のこちら側と思っていたが、ガーデンベッドが塀の方に向けられていたり、奥さんがこの家に執着していたり、実は彼らの関心は塀の内側より外側に向けられているということなのだろうか。
最後のアウシュビッツ収容所の展示物を淡々と掃除しているシーンはどういう意味があるのか。当時の記録を戒めとして大切に保管しているという前向きな捉え方もできそうだが、あの淡々と暗い顔ひとつせずに掃除をしているところがひっかかる。