かすず

関心領域のかすずのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃサイコーだった。この映画を二ヶ月間ずっと楽しみにしていたのですが予想を上回るほど気持ち悪くていい映画だった。
非ユダヤの少女がユダヤ人の作業場にリンゴを置いているシーンで、なぜ映像が反転色になっているのか不思議だったのですが、「あの残酷な環境で行動を起こした少女は輝いているからそれを表現した」という解説を見て納得すると共に感動した。しかしそのリンゴが争いをうみ、更にユダヤ人が殺される原因となった事に不甲斐なさややるせなさを感じました。あの描写は苦しかった。
美しい庭や家族が映し出される中、ずっと音声には非日常的な銃声や悲鳴が流れていてとても不快感を覚えました。しかし作中一切描かれない虐殺シーン。それは作中出てくるドイツ人たちの「無関心の領域」だからなのでは無いかと思いました。
あの家で確かに異常性を感じて逃げ出した叔母(祖母だったかも?)と、収容所に隣接しているという異常な家を「夢のような家」と表現していた母親。とても対照的で、母親がどれだけ異常なのかが浮き彫りにされていて好きでした。叔母が夜中に窓を開けて収容所を眺めているシーンで、叔母の考えていることが伝わってきて素敵な描写だと思いました。
ラスト、映像が現代とリンクするシーンで圧倒。本当にいい描写だった。これはフィクションではない。ちゃんと見ろという監督側の意図がとても伝わってきてこの上なく不快だった。最高。嘔吐シーンでは最初「何?」と混乱したのですが、映像が現代とリンクしたシーンでなぜ吐いたのかがそれとなく理解出来た気がする。
映画が終わった瞬間に興奮と感動が立ちこめました。鑑賞後数日経つのですがまだ余韻に浸っています。いい映画だった。是非見てください。
かすず

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