Makimaki

関心領域のMakimakiのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
かなりな鬱映画。
好きか嫌いか素晴らしいか、と聞かれたら好きじゃないし楽しめないと答えると思う。

奥さんが押収した毛皮を着る。
そのポケットに入っていた口紅の匂いを嗅いで、指でつける。
彼女はその持ち主に関心がない。
それより毛皮と口紅が自分に似合うかどうかしか考えていない。
このシーンだけで、ちょっと気持ち悪い。
奥さん役のザンドラ.ヒュラーさん、落下の解剖学も良かったけど、今回も素晴らしいというか憎たらしい。
特にあの傲慢な歩き方。
何度も歩くシーンがあって形容しにくい腹正しさを覚えるのです。
それでも、ただの普通の主婦なんです。
アウシュビッツの隣に住んでる事以外は…。
多分私が憎たらしいと思うのも、よくこんな場所に平気で住んでいられるな、という偽善的な感情なのかもしれない。

隣人を愛する、というキリスト教的考えは欧米の方が強いでしょうから、日本人が観るのとではショックの差が違うだろうなとは思います。

この関心、という事に対してガザとパレスチナの事や政治を挙げている人も多いけど、個人的にはそんな今1人でどうにもできないような綺麗事じゃなくて(もちろん政治は大切なのは前提です)まずは難民に対しての差別や、外国人を受け入れない閉鎖的な意識を見直してはどうかと思う。
例えばウクライナ人は受け入れてクルド人は受け入れないなんて、ヒトラーの選民思想と同じ。
普通に生活しながら、そんな事をXで呟いている人なんていくらでもいる。
そう、私達はいつでもヘス一家になるんだから。

追記
観てる間は正直何も面白くもないけど、終わった後の思考が止まりません。
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