オドラデク

関心領域のオドラデクのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
異常な日常。一見するといかにも裕福で幸福な家族の光景なのだが、ときと場所と状況とが詳らかにされることで、たちまち戦慄が広がる。冒頭が一家団欒のピクニックなのも、その帰宅が暮夜なのも、当然、その効果を意図してのことだろう。壁の向こうで行われている(であろう)ことに正当な関心を払うものはいない、時代と立場と人種とがそうさせてしまうのだ(あるいは犬でさえも)。そんななか、ゲストの老人と、生まれてまだ間もない子供とだけが、その異様さにささやかな抵抗を示す。
しかしこのヘスという男、わりに普通の夫/父親というか、案外小心者なのではないか、と勘ぐりたくなる場面がちらほら見られる。そこに制作者の含意というか、公正さを感じた。
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