和製ジャックニコルソンです

関心領域の和製ジャックニコルソンですのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
面白かったという表現が合っているか心配になりますが、久しぶりにいい作品を観ました。

まずはこの作品でもっとも評価されている
「音」ですね。
調べてみたら、1年間かけてアウシュヴィッツ収容所の音を研究してくれって監督さんがお願いして、徹底して当時のリアルを追求したそうです。
徹底的に突き詰めたその音はこの映画では誰にも聞こえていないし気にもとめないけど、確かにそこに存在はしてて
そのリアルな音とリアルな生活が隣り合わせで共存している事がこの作品の中での1番大切な絵になっていたと思いました。

A24らしい映像美ももちろんですが、カメラワークにもこだわりを感じました。
あえて広く捉えることでこの世界をよく理解できるし、前半は手前には人も物も映さないように意図的にしてるように思いました。
そして何よりも「客観視」させるカメラワークをしてた気がします。
誰かを撮っていると言うよりも、自分もそこにいて歴史を経験している感覚。

最後のシーンの現在と過去の繋げ方も美しかった。
今見ると人殺して、焼却の効率を考えたり、そんな仕事してる夫を誇らしげに思ったり…
とでもねぇ奴らだって思うけど、当時自分がそれを当たり前とする世界で育てられたら、その行為に疑問を抱けてちゃんとおかしくない?って言えるかと言われると自信持てないなと…
自分が自由な生活を送れているなら尚更。
考えさせられるし、同じ過ちは繰り返さんとこうよって思える作品でした。

そして私は何故かこの作品を見てどことなく
キューブリックさんのシャイニングみを感じました。
アングルなのか建物の感じなのか、不気味の表現が似ているからなのか…