このレビューはネタバレを含みます
ラストシーンまでは革新的だが退屈な映画だった。
ずっと固定されるカメラ。凡庸な人々。
泣き続ける赤ん坊。
徹頭徹尾モノとして扱われるユダヤ人、
ヘスの家族にとってはアウシュビッツは工場と同じ。
だがそこで「処理」されていたのは人間だった、ということをラストに博物館の映像を入れてくることで具現化させて、
そこで初めてヘスは我々を「視る」。
ヘスは気がついたのだろう、
自分の中にある「悪」に。
スピルバーグがこの映画を、ハンナ・アーレントの「凡庸な悪」を引用して評したのは、とてもよくわかる。
さあおまえはどうする、
と訊かれ続けているように思える。