久しぶりにミア・ワシコウスカをスクリーンで観ました。
物語は富裕層の子女が集うエリート全寮制校に、意識の高い新任の栄養学教師が赴任し、生徒たちが次第にその思想に感化されていく――という内容です。
オープニングの演出やフォントの使い方、劇伴のセンスが非常に良く、テーマの重さを軽減するような配慮が感じられましたが、その洗練されたビジュアルの裏には、カルトに染まる恐ろしさが静かに描かれており、観ていてじわじわと不安が募っていきます。
陰謀論や偏った思想に取り込まれることは容易い一方で、それを改めさせるのは極めて難しい――本作の中で親たちが「あなたは間違っている!」と激昂する場面は、むしろ逆効果にしかならず、観ていて暗澹たる気持ちになりました。
結局、こうした状況では粘り強く説得し続けるしかないのだろうか、と現実の問題とも重ねて考えさせられます。
また本作に頻繁に登場する「真理」という言葉に、ある種の空虚さと危うさを感じました。便利すぎる共感性や思想の"正しさ"を無批判に受け入れる姿勢は、昨今の社会にも見られる傾向であり、個人的には最近の兵庫県知事選挙の結果を連想しました。
一見するとオシャレなポスターや主演女優のイメージに惑わされがちですが、実は現代社会への鋭い風刺が込められ、見えない「信念」や「正しさ」に縛られる、凄く怖い作品でした。