松田健は妹の倫子と二人で暮らし、幼い頃から出身地による差別を受け育った。恵まれない環境の中でも、不器用ながら明るく過ごしていたが、自分の力では変えられない現実があることを身をもって知ることになる。そして、酒好きで明るい性格は一変した。故郷を離れ、日雇い労働をしながら、日々読書をし、人間や社会の仕組みを知っていく中で自分の価値観を確立していった。都合の良い情報だけを信じ資本主義に振り回され己の欲求のみを満たし人の目を気にしながら生きる大多数の人間を廃人だと考え、何も知らずに幸せそうに生きている人間を見て、軽蔑に近い感情を抱いていた。しかし、ふと自分は幸せなのかと自身に問いかけた時に答えがわからなくなってしまう…