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Winter boyのsnowwhiteのレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
3.8
父が交通事故で急死したため17 歳のリュカは寄宿舎からアルプスの麓にある家に連れ戻される。家族とは疎遠なパリの大学に住む兄も戻ってくる。父を心の底から愛していた母は落ち込みがひどく、本来ならショックを受けている子供たちのサポートをするべきなのだがその余裕がない。お葬式の為親戚たちが駆け付け、口々に頑張ってねとか慰めてくれるのだが反って元気な振りをしてしまい、悲しみを吐き出すことが出来ないでいる。映画はこんな感じで始まる。

クリストフ・オノレ監督が自身の経験をもとに脚本も手掛けているのでとてもリアルでそして重い。最初から最後まで重いのでかなり見ているのがしんどかった。もう少し少年らしく無邪気に友達とふざけるシーンとかあると良かったような気がします。



(ネタバレあります)
ショックから立ち直れない母の面倒を見るようにと兄はリュカに言い、さっさとパリに帰ろうとする。元気そうに振舞っているだけで立ち直れないリュカは気晴らしに兄とともにパリに行く。そこで兄の友達(同居人)に出会う。とても優しいその人にリュカは癒され惹かれていくが彼には秘密があった…。

主人公のリュカを演じるのはポール・キルシェ。17才。ゲイの役で激しいベッドシーンもこなし正直驚きました。フランスのお国柄もあるでしょうが日本人の17才の俳優であの役を演じきれる俳優がいるだろうか?と考えながら観ていましたが全く思いつかない。凄い俳優が出てきたものです。映画『トリコロール 赤の愛』のイレーヌ・ジャコブさんの息子さんだということですがまさにサラブレッド。お顔もお母さんそっくりでとても美形でセリフも上手い。今後伸びてくるであろう注目の新人だ。この役でサン・セバスティアン国際映画祭の主演俳優賞を最年少で受賞。

上映後に主演のポール・キルシェさん、プロデューサーのフィリップ・マルタンさん、音楽の半野喜弘さんのトークショがありました。ポール・キルシェさん、映画では長髪だったのになんと丸坊主でした。次の映画の為でしょうか?丸坊主だと彼の美しさが余計際立つというかとても美しかったです。背も高い。映画ではそんなに背が高いと思わなかったけど撮影後に伸びたのでしょうか、すごく背が高かったです。そしてよく喋る。他の人が喋ってる時にも付け加えたりして入ってくる。笑
17才、2本目の映画とは思えないほど全く物おじせず喋る喋る。あの度胸といい末恐ろしい俳優が登場したもんだ。

リュカの母親役のジュリエット・ビノシュは流石の演技でした。キルシェによると最初に撮影所に来た時から圧倒的なオーラがあり、瞬く間に家族のように溶け込んだらしい。一緒に撮影したのは短かったけど夜手料理を作ってくれて本当の家族のようになったと。

経験の浅い17歳の俳優を思いやっての行動だったのでしょうか、ジュリエット・ビノシュって人として素敵だなあと思いました。

プロデューサーのフィリップ・マルタンさんはかなりの日本通。今日本で新しい映画を撮影中とか。お洒落ないで立ちで素敵でした。

音楽の半野喜弘さん、大阪人らしいトークでした。半野さんを存じあげなかったのですが『永遠の仔』や行定勲監督の映画音楽を手掛けていらして映画監督もされてるとか。新作の公開日が奇しくも『Winter boy』とは何たる偶然。今回はクリストフ・オノレ監督が半野さんにぜひ音楽をお願いしたいとオファ-があったとか。17歳の少年の葛藤と家族の再生の物語であるということと少年がギター弾いている映像だけが送られてきてこれで音楽を作って欲しいと言われたのでとりあえずいろんな場面を想定して5曲ほど作って送ったらこれが気に入ったからこれでいいと。撮影が始まったら作ろうと思っていたのに撮影前に仕事が終わったのは初めてだと面白可笑しく話してくださいました。

最後に、これはこの映画が悪いわけではないのですが、一言いいたいです。
実は兄の友達役の俳優さんは黒人の方でした。黒人の方が悪いというわけではないのですが正直「またか!」と思いました。アカデミー作品賞の選考基準に「主要な役にアジアや黒人などの俳優」「女性やLGBTQ、障がいを持つスタッフ起用」等を決めて以降どれもこれもゲイや障碍者や有色人種が出てきます。

差別的な表現があってはいけないという決まりなら分かりますがSDGsを必ず入れなければならないなんてバカげた決まりにしか思えません。あまりにもどれもこれも出てくるので正直うんざりです。そんなにSDGsの割合多くないでしょと突っ込みたくなるのは私だけでしょうか?何よりストーリーが似たり寄ったりになりがちで面白くないです。観客の映画離れを誘発しないか心配です。

これはハリウッドに対する不満です。この映画に対するものではありません。この監督さんはハリウッドが馬鹿げた決まりを作る前から一貫してSDGsの映画を撮り続けてきた監督さんなので、本人なりの主張があり流されて作っているわけではないので評価します。
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