2023年公開。配給・東京テアトル。監督・脚本は『茜色に焼かれる』『アジアの天使』『月』の石井裕也、主演は『勝手にふるえてろ』の松岡茉優と『犬猿』の窪田正孝。その他出演者に佐藤浩一、池松壮亮、若葉竜也、仲野太賀、高良健吾ら。ユーモア満載で描く痛快ヒューマン・ドラマ。鑑賞前の現実世界の雷雨は助走という意味でも必然だった。多様化する家族のカタチ。諸所の事情は複雑で繊細だが、良くも悪くも血で繋がっている似たもの同士。ハグは存在の確認、"愛"は原動力、主題歌「ココロのままに」を含めどこか懐かしく唯一無二の空気感・世界観が邦画を邦画たらしめる所以である事は間違いない。愛も情熱も血も全て赤。不器用で迅雷風烈な登場人物たち、エネルギーが満ち溢れていた。『茜色に焼かれる』『月』に通ずる臭い物に蓋をする習慣、映画界へのアンチテーゼやコロナ禍及びアフターコロナで一変した価値観や生活、エビデンスを求める窮屈な日常、それらを含め"なかったことにしたくない"という暗喩にも思えた。Love and Thunder、あっぱれ石井監督。
"今から一緒に これから一緒に殴りに行こうか"